相続・遺言

遺言書は作成の仕方が法律で定められていますし、相続についても法律に一定の規定があります。相続するときも、相続を受けるときも、どうぞご相談ください。

相続について

Q.相続財産の分け方に決まりがありますか?
A.遺言書があれば、基本的には遺言書に沿っていくことになります。
遺言書がないときは、相続人全員で話し合って決めていくことになります。遺産分割協議と言われています。
法律で法定相続分という割合が定められていますが、話し合いでこの割合ではない分け方も可能です。

Q.遺産分割協議とはなんですか?
A.相続人が全員で、相続財産の分配方法を話し合いで決めることです。相続人が一人でも欠けては成立しませんし、相続人の中に、未成年者、判断能力の欠けた方あるいは行方不明の方がおられますと、一定の手続が必要となります。

Q.養子の場合、相続はどうなりますか?
A.養子は実子と全く同一です。いわゆる連れ子の場合は、縁組して養子にならないと、実親の配偶者との間では相続人となりません。また、養子のその実父母とは相続人の関係が維持されます。(特別養子は相続人の関係が切れます。)

Q.相続人ではなくても相続財産を受け取れることも可能になったと聞きましたが?
A.相続権を有していない親族であっても、療養看護等をしていたときは、一定の条件付きですが、財産を相続できるようになりました。

Q.配偶者短期居住権とは何ですか?
A.令和2年から認められた権利で、被相続人(亡くなった人)の遺産である建物に、その配偶者が無償で居住していた場合に、相続の開始や遺産分割の協議成立の時などから6か月間は、無償で住み続けることができる権利のことです。
つまり、建物を相続により所有しないときでも、6ヶ月間住み続けることができる権利です。
ただし、建物の使用による修繕費や、公租公課などは、居住する配偶者の負担となります。また、この居住権は配偶者のための権利ですから、他の人へ譲渡することはできません。

Q.配偶者居住権とは何ですか?
A.被相続人の遺産である建物に、その配偶者が居住していた場合に、その配偶者をそのまま居住させる旨の遺産分割協議や、遺贈、家庭裁判所の審判があった場合に、そのまま住み続けることができる権利のことをいいます。所有権ではなく居住権として自宅を相続しますので、配偶者は預貯金をより多く相続できることになります。
ただし、一定の場合には権利を成立させることができない場合がありますし、配偶者居住権の登記をしなければ、第三者に対して、その権利を主張することができません。

Q.遺留分とは何ですか?
A.遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保障された相続財産の割合をいいます。
例えば被相続人(亡くなった人)が遺言によって相続財産を第三者に譲渡(遺贈)したとしても、遺留分を有する相続人は、保障された割合については自己の権利を主張できます。

Q.借金も相続しなければなりませんか?
A.財産を相続される場合は、借金も相続しなければなりません。財産を全く相続しないということであれば、相続放棄という裁判手続をとることにより、借金も全く相続しないことができます。
あるいは相続財産のある範囲内の借金のみを相続するというやり方もあります。限定承認といいます。
また、遺産分割協議によって、相続人間で借金の負担割合を決めることもできますが、ただし、この場合は債権者の同意が必要です。

Q.相続放棄とはどういうものですか?
A.相続が開始すると、相続人はプラスの財産もマイナスの財産も全て承継します。プラスの財産に比べて明らかにマイナスの財産(借金など)が多いとき、相続人にとって相続は大きな負担となります。このようなケースの救済措置が「相続放棄」の制度です。
相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の権利や義務を一切承継しないことです。相続放棄は、相続人自身が、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述をすることによって認められます。
相続放棄の申述が認められると、申述した人は、その相続に関しては初めから相続人にならなかったものとして扱われます。
したがって、亡くなった人(被相続人)に子がいた場合に、子(第1順位の相続人)の全員が相続放棄をすると、被相続人の父母(第2順位の相続人)が健在であれば、相続人となります。さらに第2順位の相続人全員が3ヶ月以内(第1順位の相続人全員が相続放棄したことを知ったときから起算)に相続放棄をすると、被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)が相続人となります。
先順位の相続人全員が相続放棄をすると、次順位の相続人へ相続権が移りますので、相続放棄をするときは、 次順位の相続人にも事前に知らせておいた方がよいでしょう。

【遺言書の作成について】

遺言書の作り方、種類は法律で定められています。法律に即した方法で作成しないと無効で、法的効果は生じません。無効になってしまえば、かえって争いの火種となってしまう可能性がありますので、よく注意して作成する必要があります。
一般的に遺言は次の3種類に分類されます。

遺言の種類

自筆証書遺言
遺言者自身が遺言全文と日付を自筆で書き、署名・押印することによって作成する方法
ただし、財産目録については、パソコンでの作成も可能です。

公正証書遺言
遺言者本人の口述に基づき、公証人が遺言書を作成する方法

秘密証書遺言
遺言の存在自体は明らかにしながら、内容は秘密にして遺言書を作成する方法(遺言者があらかじめ遺言書を作成し密封の上、公証人に提示して遺言書である旨の明記をしてもらうやり方です)

各遺言書の比較
証人
立会人
筆者 長所 短所
自筆証書遺言 不要 本人 遺言を秘密にできる
費用が少なくてすむ
有効性が問題となる恐れがある
発見されなかったり、変造される恐れがある(但し、法務局に預けることにより、この短所はカバーできます)
公正証書遺言 証人2人以上 公証人 紛失・変造等を防止できる
適法な遺言が作成できる
費用がかかる
遺言を秘密にできない
秘密証書遺言 公証人1人、及び証人2人以上 署名・押印は本人 変造などを防止できる
内容の秘密を保てる
有効性が問題となる恐れがある

遺言するときは遺留分に注意
法定相続人には、法律上最低限相続できる割合が決められていますが、これを遺留分といいます。
遺言によっても、この遺留分は侵害できません。

遺言書についてのよくあるご質問

Q.遺言書で決められることは何ですか?
A.遺言書とは、主にプラス財産の分配方法を指定するためのものです。マイナス財産(借金など)についても書くことができますが、そのとおりになるには一定の条件が必要です。また、祭祀や認知などの財産以外のいくつかの事項についても決められます。

Q.遺言書はどのような場合に作成が望ましいでしょうか?
A.遺言書とは、ご逝去後の財産をどうしたいか、どのように分けたいかのご意思を表明した書面です。
つまり、遺言書がないと、分配の仕方は相続人の方々の判断に任せるという結果にもなりますので、次のような場合においては、遺言書を作成されることをおすすめします。
-子がいない
-現在の妻とは再婚で、先妻との間に子がいる
-相続人になる人が誰もいない
-相続人の中に未成年者、行方不明の方、認知症の方がいる
-障がいを持った子に、財産を多めに遺したい
-相続人でない人に財産を譲りたい
-内縁関係の人に財産を残したい
-家業を継ぐ相続人に事業用の財産を相続させたい
-介護で頑張ってくれた子供に、財産を多めに遺したい
-遺産を世の中の役に立つように寄付したい
-相続人は複数いるのに、価値のありそうな遺産が自宅のみである
-自宅が相続人の一部との共有名義である、あるいは同居している

Q.遺言を書いたものの、状況が変わった。遺言書は書き直せますか?
A.いつでも書き直せます。
書き直すときは、以前の遺言は撤回する旨を書き加えた方がよろしいと思います。

Q.自分の財産を寄附するには、どうしたらよいのでしょうか
A.遺言書に書き記すことで、ご自身の意思を実現することができます。
この場合は、遺言執行者(実際に寄附する行為を行う人です)も書き加えて下さい。

Q.夫婦連名で遺言は書けますか?
A.それはできません。
夫婦であっても別々に書かないと、遺言書の効力がありません。

Q.自筆証書遺言書保管制度とはなんですか?
A.自筆証書遺言は、自分ひとりで作成できて、作成に費用がかからない、というメリットがありますが、遺言書の紛失・改ざん・未発見等のおそれがあります。相続開始後は、家庭裁判所での検認も必要です。
法務局が自筆遺言を保管してくれる制度を利用すれば、遺言書の紛失・改ざん・未発見のおそれが無くなります。また、この制度を活用すれば検認が要りません。

Q.遺言書の検認とは?
A.検認とは、遺言書の形状を確認して、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言書の有効・無効を判断するものではありません。
この検認手続をしないと、遺言書での相続登記はできません。この検認手続をする前に遺言書を開封してはいけません。廃棄したり隠したりすると相続権を失う恐れもあります。

【遺留分について】

遺留分

直系尊属(父母や祖父母のように自分よりも前の世代に属する者を尊属といいます)のみが相続人の場合:被相続人の財産の1/3
上記以外の場合:被相続人の財産の1/2
兄弟姉妹には、遺留分はありません

遺留分侵害額請求権
遺言による贈与等により、遺留分が侵害されていることを知った相続人は、一定の期間内において、受贈者等に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。

【相続(負債)の放棄について】

被相続人(親)が多額の借金を残して亡くなった場合に、その相続人(配偶者や子供など)にその借金を負担させてしまえば、残された家族の生活が成り立たなくなることもありますので、この相続放棄という手続き方法があるのです。

相続放棄は各相続人が、「自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内」に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。そして、これが家庭裁判所に認められると、「相続放棄陳述受理証明書」が交付され、この証明書が相続放棄をした証明となるのです。
この期間内に申述しなかった場合は、単純承認したものとみなされます。

※3ヶ月以内に相続放棄をするかどうか決めることが出来ない特別の事情がある場合は、家庭裁判所に、「相続放棄のための申述期間延長」を申請することにより、この3ヶ月の期間を延長してもらえる場合があります。

※相続人が未成年者(または成年被後見人)の場合は、その法定代理人が代理して申述します。